コラム

 公開日: 2017-06-20  最終更新日: 2017-06-25

人を管理する-その③【ワープ(光速航行)の弊害と対処】

医療機関の事務、特に受付会計事務では、患者さんの外来待ち時間の多くのクレームが集まる場所であり、カルテ作成や捜索、投薬、会計に至るまで、すべてが待ち時間にカウントされ、患者側も他に不満や体調不良の訴えのぶつけどころないため、クレームの一つ二つは必ずありうることはご承知の通りです。
そんな時にテキパキと外来の流れをコントロールしてくれる事務の逸材のことを、前回、宇宙船のワープエンジンに例えてお話をしました。想い出していただけましたか?
そうです。この逸材は女性であることが多いのですが、男性でこういった能力を持った人も稀に見かけます。
あまりにも見事に、そして劇的に滞った外来の流れを元に戻してくれるため、院長先生や婦長はこの切り札をいつしか通常の業務のごとく使い始めるのです。

そうなるとどうなりますか? ええ、そうですね。当然この切り札的人材は、疲弊してしまいます。たちが悪いことに、この人材は体力的にも優れているケースが多く、また、ちょっとそっとの苦難には負けない気力も持ち合わせています。
この人材が過労を重ねている事実は、水面下でしかわからないのです。

そして、もう一つの弊害も同時多発的に起こりつつあるから始末におけません。
そのもう一つの弊害とは、前々回にアルファベットで示したBさんからEさんまでのことです。(Aさんは切り札的人材です)

元々はAさんは、Bさん、Cさん、Dさん、Eさんのフォローにまわるのが本来の業務でした。そう、フォローに周りながら全体の流れを把握して、業務全体がスムーズに流れるようにコントロールするのです。うむ。これなら疲れません。

しかし、悪い例では自分がやった方が早く終わるし、また周りもついついそういう期待をしてしまうために、Aさん自らすべての業務をこなしてしまうということになってしまいます。時々ならまだしもいつも慢性的にそういう状態では、どんなスーパーマンでも身が持ちません。

そして、慢性的に他のBさん~Eさんは業務の量が減った環境の中で、習慣的にその状態を通常の状態としてとらえるため、Bさん~Eさんの業務遂行能力は下降線をたどり、やがて本来こなす業務の50%~70%しか仕事ができなくなってしまうのです。

Aさん一人が飛びぬけて、後は烏合の衆という状態になりかねません。

どうですか?
先生方のクリニック(病院)でもこういう状態になってないでしょうね?
え? 思い当たるですって? 危ない危ない・・・。
こういった状態がさらに続けば考えられるケースとしては、Aさんは心身とも疲れ果ててクリニック辞めてしまうかもしれません。これはまだ一番自然な成り行きです。
もっと最悪のケースとしては、Aさんの心身の疲労がクリニック(病院)への反旗としてあらわれ、Bさん以下と組んで、自分たちがいないと運営が回らないことを色々な交渉のネタにされることです。
こうなっては人命を問う業務以前の問題になってしまいます。こうまではなりたくないですね。

この状態を回避するには、Aさんたる人物に何もかもやらせないことしかありません。
つまり、どんなにAさんを呼びたいケースになっても、残りのB、C、D、Eさんに業務を任せるしかないのです。
しばらくは、Aさんが一番辛いかもしれません。なんせ、自分がやれば解決できるからです。見て見ぬふりをしなければならず、そのことが辛いでしょう。
しかし、やがてこのことは実を結び第二、第三のAさんと呼べる人材が育っていきます。こうなれば占めたものです。こうなった時に一番Aさんの能力が発揮できるからです。
また、逆にAさんに“自分の二番手を育てなさい”と指示を出してもいいかもしれません。
少々、傑出した人材の能力を持て余すぐらいが、残りの人材を育てることにつながります。そして、残りの人材が育ってきたころに、奇しくもAさんは皆の人望を得て管理職へ育っていた自分に気付くのです。

次回は『物』について一緒に考えてみましょう。

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