コラム

 公開日: 2015-12-08 

病院経営における外来患者数と医師の数との最適なバランスは?

1日に医師1人が診察できる患者の数はどのくらいでしょうか?
外来患者数に制限はありませんが、仮に1人に対して平均10分の診療を行ったとすると1時間に6人。病院の診療時間が8時間として考えると、一日にこなせるのは50人弱となります。
もちろん1診療にかかる平均時間は、診療科目によっても違ってくるでしょう。初診の際の問診や検査、その後の説明を加えると、1人に対し20〜30分というケースもあり得ますが、貴院ではいかがでしょうか。

病院経営と外来管理加算

医療サービスの公定価格制度、診療報酬には、細分化された医療行為ごとの点数が決められています。
診療報酬点数表に基づき、1点10円で計算されます。

その中に、再診料の外来管理加算という項目があります。外来の再診の際に認められるもので、診療報酬点数のかかる各種の検査、リハビリテーション、処置や手術、麻酔、放射線治療などの医療行為とともに、計画的な医学管理として、患者に懇切丁寧な説明を行うことが義務づけられています。

以前は、処置や検査、リハビリなどが行われない場合にも加算されていたため、患者にとってわかりづらいとの指摘があり、2008年に改定されました。
同時に、「5分ルール」が導入されましたが、評判が悪く2010年には早くも廃止されています。
これは医師からの説明が、概ね5分を超えた場合に限り、外来管理加算の算定ができるという時間の取り決めで、多忙などを理由に簡単な症状の確認のみにならないことを目的としたものでした。

外来患者への懇切丁寧な対応

5分ルールがなくなっても、問診や病状の説明には、良い変化が見られるようになり、その後の検証調査にも表れています。
患者への症状などに合わせた問診を心がけるようになった/患者の生活上の注意や指導を簡明に行うようになった/患者の疑問や不安への対応に気を配るようになった/などの回答が見られました。
「懇切丁寧」が基本となったことで、患者一人当たりの診療時間増幅や外来患者の1日診療数に影響が見られたかと言えば、特に大きな変化はないという回答が多かったようです。
また、外来管理加算の見直しに伴い、症状や状態についての問診や診察が丁寧になったと思う患者の割合が「そう思わない」を上回っていました。

平均的な外来診療 一人平均10分

診察時間を、診察室入室・問診と身体観察・医師への質問と説明・退室まで、とすると、全国的な平均値は病院が8.92分、診療所は9.57分です。
さらに、患者の入れ替わり時間などを考慮すると、冒頭に記した「1人平均10分」と考えるのは妥当な時間と言えるでしょう。

診療受付・診察室への案内・薬の処方・診療予約・会計計算・支払いまでの外来診療の一連の流れをシステム化し、効率を上げても、医師1人当たりの1日の診察数を、現状の倍にするなどの発想は厳しいと言えるでしょう。
しかし、効率的な診察を心がけることは、医療スタッフの省力化と診察の質に貢献します。

自身の病状に不安を感じながら待っている患者さんもいます。
治療に来ているにも関わらず、精神的苦痛があるとすれば、時間的拘束の解放は課題であると言えるでしょう。

外来の診療単価と患者総数

病院経営において、病院の外来収益は、外来診療単価×外来患者総数で表されます。この式からすると、外来患者数を増やすことが、外来収益増加の近道だと考えてしまいがちですが、それでは単に、医師の長時間診療につながりかねません。

外来収益に対しては、外来単価が患者総数よりも強く影響していること。医師一人当たりの紹介患者数や救急車搬入患者数などが、外来患者総数や再来患者数より影響が大きいことを、付け加えておきます。

医療機能役割分担を経済的に考える上でのポイントは、医師一人当たりの各種患者数で見た外来単価であるのです。
効率的な仕事、医師としての専門性が、外来単価を上げる要素と言えるでしょう。
院長や勤務医の外来仕事量と外来単価の関係を明らかにしてみましょう。

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