コラム

 公開日: 2015-12-02 

病院経営の人件費率を抑える重要性

医療機関の経費に占める“人件費”の割合は高いものです。
経費節減を考える時、まっさきに浮かび上がるのがこの部分です。でも、病院の質は職員で決まるといっても過言ではありません。安易なコスト削減で、診療の質を落とすことにならないよう、人件費を見直す際の基本的な考え方や具体策を考えてみましょう。

病院経営で人件費が占める割合は50%を超える

病院の支出で最も大きな割合を占めるのが、職員への給与・人件費です。全施設平均で常に50%を越えると言われています。100床未満の病院では65%にも達している一方、700床以上の病院は50%に満たないという、施設規模による差が大きいのも現状としてあります。

また人件費は、ほかの経費と違って「感情を伴う問題」という点に特徴があります。
部門によって忙しさが異なったり、職員間での労働に片寄りが見られることもあります。個人のパフォーマンスにより、仕事の出来高や能率は異なるでしょう。

人件費について考えると同時に、いかにモチベーションを上げ、それを維持する方向に持っていけるかが重要です。
新規採用や教育にも関連しますが、仕事の質を高めるには全職員を活性させること。また、病院の財であると認められる人物を昇格させることだと思います。

人件費のコスト削減は効率性やサービス意識の低下を招く場合も

厳しいですが、どんな職場に置いても「いるだけでマイナスになる人・ただいるだけの人」は、当然、人件費のロスになっている印象です。

しかし、いきなりのコスト削減で反感を買ってしまうやり方は好ましくありません。やる気がダウンすると、効率性やサービス意識の低下を招きかねないからです。
調整手当の見直しをするなど、合理的な変更理由を伝え、減額になる職員への配慮を行うこと。ていねいな説明があれば理想的です。

また、人によりルーズになりがちなのが時間外手当です。残業の把握や管理を、院長不在のときにもできる体制をとっておきたいものです。

前もって許可する残業時間の取り決めを行うことも重要です。明日に回しても大丈夫な仕事など、キリがない部分をセーブできるように制限を設けましょう。
ノー残業デーや変形労働時間制、細かな勤務シフト制により、労働時間を最大限に活用し、できるだけ残業に至らないようにするのも有効です。

コスト削減につなげるための管理

人にかかる経費に、通勤手当があります。定期代を支給している場合、有効期間を割引率の高い6カ月にすることはよく知られていますが、実は使用していなかったり、違う手段を使うなど、本来の支給条件とは異なる通勤が疑われるときは、実態確認も必要でしょう。税務調査の際の適正な取り扱いとして、定期券のコピーを促しましょう。

また、就職等を機に、職員の家族手当の対象者が外れる場合もありますので、年度替わりには確認するようにしましょう。

定期昇給の時期を4月から7月にずらすことで、社会保険料のアップを一年遅らせることもできます。
退職日を月の末日以外にしたり、入職日を月初めにすると、保険料負担の面で経済的です。

職員の定着がコスト削減につながる

やむを得ない事情で惜しまれながらの退職の場合はともかくですが、職員が定着しないのは頭の痛いところです。
退職に伴う採用には多額の費用が発生します。

求人広告の見積もりは、複数業者から取ることがおすすめで、採用後の教育や事務手続き費用をあわせると、一人当たり50万円程度かかるのではないでしょうか。職員の“出入り”の激しい状態が続くと相当な無駄が生まれます。

そのための教育担当者たるべき、優れた人材の有無もポイントとなります。勤続年数が比較的短いながら対人関係がよく、コミュニケーション力のある人を選ぶと良いでしょう。

委託や派遣の雇用をコスト削減につなげる

人件費を削るための外部委託が増えています。病院の支出の多くが職員への給与であることは明白なので、それを抑える目的で、給食や清掃などの委託が増大しているのです。

派遣会社の見直し、また優秀な派遣社員の直接雇用などで経費節約が可能になるケースもあります。これは、本人にとっての安定とも言えるので、労働条件を話しあい交渉してみましょう。
直接雇用をすることで、厚生労働省から事業主に、助成金が支給される場合もあります。

良い職員の勤務継続を維持することが、医療の質を保つことにつながります。人件費をおさえつつ、合理的な病院運営が求められます。

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